巨象も踊る

2004年5月26日 読書
アメリカのIBMを立て直したルイス・V・ガースナーの自伝。
巨像とは、世界的大企業であるIBMの事。

1993年の激動のCEO選抜の過程から、どうやってIBMという大企業を立て直したかを徒然と書いている。

面白いと思ったのは、ガースナーがITの専門的な技術について全くの素人だったこと。
ガースナーが知っていた事は、IT業界がどういったニーズを求めていて、そのためにIBMがどういったソリューションを提案できるかということだけだった。

また、IBMが長い歴史の中で慣行と派閥に足を取られてしまっていた事も書いている。
IBMは世界的な大企業だから、制度改革は不可能だと思われていた。
しかしガースナーは、古い慣行を打破し、一本の目的のために組織を改革する事は可能なことを示してくれている。

読んでいて日産の再生を思わせる。
IT業界という高速で移り変わる業界で成功を収めただけでもすごいのに、IBMという大企業を立ち直らせるおまけもつけたのだから恐ろしい。
経営者の参考になる面白い本だと思う。

<目次>

第?部 掌握
 第1章 誘い
 第2章 発表
 第3章 消火栓から水を飲む
 第4章 現場へ
 第5章 強く抱きしめる作戦
 第6章 止血する、そしてビジョンは封印する
 第7章 経営チームを作る
 第8章 世界的企業を作る
 第9章 ブランドを再生する
 第10章 報酬哲学を見直す
 第11章 ふたたび海岸で

第?部 戦略
 第12章 IBM小史
 第13章 大きな賭
 第14章 サービス――統合のカギ
 第15章 世界最大のソフトウェア事業を再構築する
 第16章 店を開く
 第17章 スタックを分解して、事業の的を絞る
 第18章 eビジネスの台頭
 第19章 戦略についての回顧

第?部 企業文化
 第20章 企業文化
 第21章 裏返しの世界
 第22章 原則によるリーダーシップ指導

第?部 教訓
 第23章 絞り込み――自分のビジネスを知り、愛しているか
 第24章 実行――戦略には限界がある
 第25章 顔が見えるリーダーシップ指導
 第26章 巨象は踊れないとはだれにも言わせない

第?部 個人的な意見
 第27章 情報技術産業
 第28章 制度
 第29章 動きを見守る人たち
 第30章 企業と社会
 第31章 IBMよさらば

付録
 付録A 社員に送ったメールの例
 付録B eビジネスの未来
 付録C IBM再生の財務実績

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